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包茎だと病気になる?放置すると不妊など深刻な問題にも発展

常に亀頭が皮で覆われる包茎(ほうけい)。以下のように悩む人も多いのではないでしょうか?

  • 毎日お風呂で洗っていても亀頭やペニスのにおいが取れない
  • ぬるぬるネバネバする
  • 白いカスがカリ首にたまる


そういった人からいただく相談で多いのは、「包茎(ほうけい)を放っておくと病気になるか?」というご質問。

不衛生な状態になりやすい包茎によって、病気になりやすいということはあるのでしょうか?

また、どのような病気になりやすく、どうすれば防ぐことができるでしょうか?

本記事では、包茎によって引き起こされる病気の症状・サイン・対策について解説します。

また、包茎手術をご検討されている方向けに、費用や保険適用について以下の記事で詳しく解説しております。この機会にご覧いただけると幸いです。

【参考記事】:包茎(ほうけい)手術の費用相場は?保険適用には隠れたリスクも…

包茎の人が病気になる確率とは

包茎によって引き起こされる病気は、様々なものがあります。

くわしくは後述しますが、軽度か重度かによるものの包茎が原因となる病気は多数あります。

ご存じの人も多いかと思いますが、日本人の約8割は包茎と言われています。


この中で何%の人が包茎が原因となる病気を発症するか正確なデータはありませんが、もっとも視認しやすい「亀頭包皮炎(きとうほうひえん)」をもとに考えてみましょう。

【当院のケース】

私が開設するフェアクリニック川口院・東京院には、包茎の悩みを抱える多くの患者様が来られますが、診察をした際に包皮炎を起こしているケースは20~25%ほどとなります。

特に汗をかきやすくペニスが不衛生になりやすい夏場は包皮炎の率は高くなり、症状の差はありますが30%程度になると思います。


包皮炎は一度発症すると完治が難しく、「勃起のたびに傷ができる」「マスターベーションやセックスで切れて痛む」などの症状を繰り返します。

「自分はむけやすい仮性包茎だから毎日洗えるから平気!」

とお考えの人もいますが、仮性包茎でも包皮炎を起こすケースは多いため、包皮や亀頭に赤みやかゆみが出た場合は注意が必要です。

包茎の1番の問題は「不妊」につながること

ちょっとショッキングなタイトルとなりましたが、決して大げさな話ではありません。

「包茎によって不妊の状態となっている…」

というケースもあり、子作りを検討している、または子作りをがんばっている夫婦やカップルにとって深刻な悩みになっています。

包茎が原因で不妊となるのは、どういったケースがあるのでしょうか?解説します。

不妊につながる原因①性行為へ消極的になる

包茎は簡単に皮がむける仮性包茎だけでなく、勃起するとむくことができないカントン包茎、平常時でもむくことが困難な真性包茎があります。

【ポイント】

カントン包茎や真性包茎の場合、自分で行うマスターベーション(オナニー)は皮をゆっくりスライドさせれば可能です。

しかし、女性の膣へ挿入すると皮の締め付けが亀頭に食い込み、「亀頭の痛みでペニスを動かすことができない」「セックス中に亀頭が不意に露出したら皮が戻せないと怖いため、挿入に抵抗がある」など痛みやその後の障害によってセックスをためらうケースがあります。


また、包茎の人は女性の前で「皮がかぶった状態」を見せることに強いコンプレックスがあり、セックスに積極的になれない、セックスを避ける傾向にあります。

子どもを作るうえでセックスをしないわけにはいかないものの、無理に行おうとする「義務感セックス」という思いが強くなり、「忙しいから」「疲れているから」と理由をつけて男性側がセックスを遠ざけるケースも多々あります。

このように、包茎による勃起時の痛みや障害に加え、かぶっている見た目のコンプレックスからセックスに消極的であることが原因で「不妊」を引き起こします。


夫婦やカップルで婦人科、産婦人科で不妊相談に行っても、「包茎だからセックスを遠ざけている」とは男性側から伝えにくいため、解決に至らないことも多いです。

不妊につながる原因②不衛生な状態が続く

包茎の場合、亀頭とかぶっている皮の内側に恥垢(ちこう)という白いカスがたまることが多くあります。

恥垢は亀頭に付着したほこりや垢、精子のカスが、皮に包まれていることで尿や汗が蒸れ、ねばねばした白いのり状になった状態を言います。

排尿時に指に着き、嗅ぐと強烈なにおいを発します(男性自身でもいやな恥垢は、女性に敬遠されても当たり前ですよね・・・)。

【ポイント】

包茎は恥垢がたまりやすく、皮をむいて洗える仮性包茎はまだよいのですが、むくことが困難なカントン包茎や真性包茎の場合、射精時に出る精子が恥垢をはじめとした汚れに覆われ、卵細胞まで届かない事象が起きます。


卵細胞まで精子が届かない、または精子の動きを汚れが阻害して勢いがない場合、受精ができない状態となり不妊の原因となります。

カントン包茎や真性包茎でもセックスができる、膣内で射精ができるが、パートナーが妊娠に至らない場合、ペニスの汚れによって精子の動きが不十分でないか調べることをおすすめいたします。

不妊につながる原因③膣の中で射精ができない

自然なセックスでパートナーの妊娠を望む場合、膣の中で射精できることが必須です。

「女性の膣内で射精ができるなんて当たり前」とお考えの人もいるかもしれませんが、包茎の場合、膣内の射精が困難なケースがあります。


男性自身のペースで皮を自由に動かせるマスターベーション(オナニー)と異なり、女性の膣にペニスを挿入していわゆるピストン運動をすることが難しい人もいます。

【ポイント】

カントン包茎や真性包茎の場合は、膣への挿入によって皮が後ろに引っ張られる状態となり痛みを生じてピストン運動ができず、射精まで至らないことがあります。

また、亀頭が敏感で外に出慣れておらず敏感な場合、皮が不意にむけて亀頭が露出すると痛みを感じて膣内への挿入ができないことあります。


上記の場合は「包茎手術」が効果的で、正常にセックスを行うために夫婦で手術の相談に来られるケースも少なくありません。

包茎の人が直面する病気6つ

ペニスは尿が出る汚れやすい箇所にもかかわらず、包茎であるために恥垢(ちこう)がたまりやすく衛生面でのデメリットが大きいことをお伝えしました。

常に汚れた状態が維持されることで、病気を引き起こすことも少なくありません。


包茎が原因となる病気は、どのようなものがあるか6つ解説します。

亀頭包皮炎(きとうほうひえん)

亀頭包皮炎は、包茎によって起きる病気の代表例と言えます。

亀頭炎と包皮炎のことを言い、通常は亀頭と包皮の両方に炎症が発生します(亀頭炎または包皮炎のどちらか一方のみを発症しているケースもあります)。

これらの症状は、包茎の場合に多く発症します。

【具体的な症状】

亀頭包皮炎の一般的な症状として、包皮が淡赤色に腫れ、亀頭と包皮の内ばん(ないばん)に炎症が出ます。自発痛や排尿時痛(はいにょうじつう:尿を出すと痛む症状)がみられることが多く、膿(うみ)を分泌するケースもあります。

また、かゆみを伴うケース、出血するケースもあります。

【原因】

亀頭包皮炎の原因は、皮の内側と亀頭の間に恥垢が溜まることで感染し、炎症が起こると考えられています。

症状が進行・悪化すると尿道狭窄(にょうどうきょうさく:尿が出る口がせまくなる状態)となり、排尿に支障をきたす場合があります。


また、閉塞性乾燥性亀頭炎、二次的真性包茎、陰茎癌になる確率が高まるため注意が必要です。

亀頭包皮炎は再発を繰り返しやすいため、亀頭部分を清潔に保つことが大事です。

たびたび亀頭包皮炎になり完治しない場合や他の疾患の合併症が生じた場合は、包茎手術を検討されることをおすすめします。

性感染症(性病・STD)

出会い系アプリ、マッチングアプリの一般化、それに伴い性風俗の低価格化によって性病・性感染症(STD:Sexually Transmitted Diseases)に罹患するリスクが大変高まっています。

実際当院にも尖圭コンジローマを発症し、レーザーや高周波メスによる除去治療をお受けになられる人が大変多くなっています。

【具体的な症状】

性病によっては症状が分かりにくいものも多く、「あやしいかな?」と思ったらすみやかに医療機関で受診するようにしましょう。

【原因】

STDはすべての性行為(セックス以外でもディープキス、ペッティング、フェラチオ、クンニリングス、アナルセックスなど)によって感染する病気のことをいい、性行為のパートナーが異性・同性を問わず罹患します。性病・性感染症(STD)の病原体は、健康な皮膚から感染するリスクはほとんどありません。

病原体は精液・膣液、血液などの体液の中に含まれ、おもに人体の粘膜(亀頭や陰茎、膣、肛門、尿路)を介して感染しますが、口腔、のど、気道、眼からも感染することもあります。


性病に感染した疑いはある場合、性行為をしたパートナーにも伝え、同時に医療機関を受診なさることをおすすめします。

性病はコンドームの使用によって感染のリスクを下げることができるため、性行為の際はコンドームを使うよう心がけましょう。

包茎は性病・性感染症に感染しやすいのです。包茎のペニスは亀頭や包皮(特に薄く弱い皮である内ばん)が汚れによって炎症を起こしやすく、勃起や性行為時の刺激で傷つきやすい状態となります。


細かい傷があるままでパートナーを伴った性行為を行うと、性病の病原体となるウイルスや細菌に侵されやすいため性病に感染するリスクが高まります。

特に包茎の人が不特定多数のパートナーと性行為を行う場合、性病に感染するリスクが高いことを念頭に置いてください。

陰茎がん

陰茎がん(癌)は陰茎の皮膚から発生し、海綿体や尿道へとうつることで排尿困難となることがあります。

【具体的な症状】

症状として、痛みを伴うことはありません。大きくなると潰瘍(かいよう)を形成する、出血することがあります。陰茎がんはペニス表面にカリフラワー状に増殖する場合と、ペニス内部に進行し硬化・潰瘍によって排尿困難となる場合があります。

また、そけい部リンパ節(太もものつけ根)に転移しやすく、症状が進行するとそけい部のリンパ節が硬くなります。

【原因】

陰茎がんの人に包茎が多いこと、幼少時に割礼(かつれい:包茎の状態を治すこと)を受ける習慣をもつユダヤ教徒やイスラム教徒に陰茎がんの発生が著しく少ないことから、包茎は陰茎がんの原因のひとつの可能性として挙げられます。

包茎は恥垢がたまり慢性的に不衛生な状態となり、発がんの要因となっているのではと考えられています。

閉塞性乾燥性亀頭炎(へいそくせいかんそうせいきとうえん)

前述した亀頭包皮炎を繰り返すと、包皮のゴムのような弾力性や伸縮性は失われていき、徐々に包皮が硬く厚みを持つようになります。

【具体的な症状】

症状としては、包皮の先端が徐々にせまくなり、やがてふさがってしまいます。要は「仮性包茎だったのに真性包茎にステップアップした」状態となります。

包茎の人に見られる症状ですが、もともと亀頭が露出していた中高年の人も起こりえます。

【原因】

包皮の先端が炎症を起こすと痛みが出るため、皮をむいて洗わなくなり、不衛生でますます炎症が進行するという悪循環になります。

セックスやマスターベーション、勃起の刺激によって炎症した箇所が切れやすくなり、さらに悪化し硬くむけなくなっていきます。


包皮は先端でつぼまり、亀頭を露出することが困難な「強いカントン包茎」、まったく露出できない「真性包茎」の状態となります。

尿路感染症

細菌や真菌、ウィルスが「おしっこの通り道」である尿路の中に入って増え、感染した状態を尿路感染症と言います。

尿道口から菌やウイルスが入り、尿が通るのと逆方向に進んでいきます。

【具体的な症状】

尿路感染症を放置すると細菌が血液に入り全身に回り、命にかかわる敗血症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

尿道口を常に清潔にすることが感染予防となります。

特に強いカントン包茎や真性包茎は発症リスクが高まるため、包茎手術によって治すことをおすすめいたします。

【原因】

成人男性が尿路感染症にかかる要因の多くは、包茎による不衛生な状態であると考えられます。

包茎は包皮と亀頭の間がジメジメした状態が維持され、細菌やウィルスが繁殖しやすい環境となり、それらが尿路を通って体内に入っていくのです。

紅色肥厚症(こうしょくひこうしょう)

紅色肥厚症は早期がんの一種で、亀頭や包皮の内ばんが赤みを帯び、ビロードのような滑らかな感触の皮膚症状を言います。

【具体的な症状】

白色や黄白色のがさがさと乾燥してはがれ落ちやすい皮膚が付着し、ときには一部にびらん状になり、かさぶた状態になっていることもあります。

皮膚組織を取って顕微鏡検査を行うことで確定診断が得られます。

【原因】

亀頭と包皮の間に蓄積された恥垢(ちこう)が炎症の原因となることから、包茎の場合に発症することが多いとされます。

包茎での病気を防ぐには、いち早い「包茎手術」を推奨

ペニスは尿や精子が出る、非常に汚れやすい部分です。

包茎は尿道口や亀頭を覆ってジメジメとした環境を維持するため、細菌やウイルスを増殖しやすい状態となります。


また、炎症を起こしやすいことで亀頭や包皮に傷が付くケースも多々あり、様々な病気にかかりやすい環境と言えます。

包茎手術をおこなえば、亀頭が常に露出すると炎症が起きにくくなる、弱い内ばん(ないばん)の皮がなくなることで病気の侵入を防ぐことができます。

ペニスの病気を繰り返す場合、包茎手術は非常に有効な手段とお考えください。

まとめ:包茎による病気は取り返しがつかない問題にも発展

これまで述べたように、ペニスの病気は様々あり、包茎によって感染するリスクは非常に高まります。

また、それらの病気を放置し症状が進行すると、重篤な状態となるものもあり看過できません。

包茎は恥垢を生成しやすく不衛生な状態を維持するため、「亀頭や包皮の炎症を起こしやすい」「菌やウイルスの増殖を招きやすい」「刺激に弱く傷がつくことで菌やウイルスが侵入しやすい」といった病気を引き起こす土壌を作ります。


もちろん、すべての包茎の人が前述した状態になるわけではありませんが、包茎でない人と比較すると格段にそのリスクは高まります。

特に、入院や介護を受ける立場になると、日々入浴することができず清潔の保持が難しくなり、炎症が進む病気にかかることも考えられます。

元気に動けるうちに、そういったリスクをできるだけ減らすことを検討することも大切です。

「包茎を放置することはリスクである」という言葉は、すべての男性にとって決して大げさではないと考えます。

包茎で将来的な病気の罹患が不安な人は、フェアクリニックへぜひご相談ください。

柴田 健了(しばた たけのり)

京都大学医学部卒。日本形成外科学会専門医。長年の治療実績、論文の成果が認められた医師のみが認定される日本形成外科学会専門医の資格を持つ。20年以上形成外科・美容外科の専門医として従事し、大手美容外科を経て、フェアクリニック川口院/東京院を開設。クリニックのコンセプト「フェア(正しい・明瞭)」を掲げ、良質な技術を提供。▶公式サイトURL:https://mens.fairclinic.jp/about/