パイプカットとは、男性が受ける「避妊治療」としてもっともメジャーな治療です。
陰嚢(いんのう:たま袋)内部にある睾丸(こうがん)で作られる精子が通る管を処置し、射精時に出る精液に混じらないようにする避妊目的の手術となります。
射精の感覚は変わらないものの、外に放出される精液に精子は入っていないため、女性側が妊娠しないというものです。
今回は、日本で行われるパイプカット手術方法、料金の相場、手術が失敗することはあるか、術中や術後の痛みはどうか、について解説します。
パイプカットの手術方法は2種類
精子が通るパイプを精管(せいかん)といい、パイプカット手術はこの管を処置する手術です。
方法には何通りかありますが、ネオ形成外科で行う方法も含め、代表的な方法2例をお伝えします。
切開(精管結紮)法
ネオ形成外科でも行っている方法で、陰嚢(いんのう:たま袋)の中の精管が通る位置を左右2か所切開し、精管を切断したうえで、再生しないように管の切り口をさらに処置を加える手術法です。
手術時間は30~40分前後となります。
陰嚢を切開すると、患部の視野が広がり精管を確実に見つけることができる、処置した精管がふたたび開通することがないよう処置を行える、という利点があります。
傷は2週間ほどでふさがり、たま袋のしわに隠れ目立たなくなっていきます。
NSV(無切開精管切除術)法
日本国内では少数ですが、ほぼ切らずに陰嚢に小さな穴を開けて、精管を処置する方法です。
小さな穴のため、「傷がほぼなくて済む」とお考えの人もおられますが….
処置を行うにあたって非常に視野が狭いこと、穴が小さすぎて精管を正しく見つけることができない、または時間を要すること、がデメリットと私たちは考えています。
パイプカット手術の失敗率と痛みについて
パイプカット手術は陰嚢というたま袋とその中にある精管を処置する手術ですが、痛みはどうなのでしょうか?
また、避妊を目的に行う手術ですが、失敗はありうるのでしょうか?
失敗率は2000人に1人の割合
精管をハサミで切っただけでは、ふたたび自然に開通する可能性はゼロではないと考えます。
ある医師のデータでは、2000件に1件というわずかな確率ながら、切った管通しが自然につながり、精子が外に放出されることがありうるとしています。
ネオ形成外科で行う方法は、精管を切って終了ではなく、管の切り口をそれぞれ電気メスで焼いてふさぎ、さらに糸でしばります。
この方法を行ったにもかかわらず、将来的に精管が再開通することは考えられません。
間違いなく精管を除去し、その切り口も正しく処置されていれば、射精の際に出る精液に精子が混じることはない、と言えます。
*なお精管を切らずに結ぶだけのパイプカット手術、も存在します。
将来的にパートナーが妊娠を望んだ際に、結んだ精管をほどくとふたたび開通させられる可能性があるという手術法です。
精管を結ぶだけでは、睾丸で作られた精子が管のわずかな隙間をぬって外に放出され妊娠する可能性があります。
手術時の痛みはほぼ無い
パイプカット手術は、局所麻酔で行うケースがほとんどです。
陰嚢部分に注射を使用して麻酔しますが、その際につねられるような痛みがあります。
人によっては、陰毛を引っ張られる痛みとおっしゃる人もいます。手術中は麻酔が効いているため、痛みはありません。
稀に精管を引っ張る際、「たま袋のあたりで何かを引っ張られる感覚がある」とおっしゃる人もいますが、痛みは感じません。
手術後、陰嚢部分にズキズキした痛み、鈍痛を感じることがあります。
痛み止めを処方しておりますので、服用していただければおさまる範囲です。
パイプカット手術の費用
手術費用は、どのクリニックも同じなのでしょうか?
ネオ形成外科で行うパイプカット手術の費用を含め、相場をご紹介します。
一般的な手術費用は平均20万円程度
パイプカット手術は基本的には自由診療で行われ、多くの病院・クリニックは20万円前後で行っています。
ネオ形成外科は手術費用は税込みで165,000円、精管や精子の検査が33,000円となります(合計198,000円)。
母体保護法に保険が適用になるケースがありますが、妊娠がパートナーの女性の健康に重大な悪影響を与える場合、という条件付きとなります(ネオ形成外科では保険適用のパイプカット手術は行っておりません。自由診療のクリニックが多いため、保険適用をご希望の場合はあらかじめ病院・クリニックへご確認ください)。
「精液に精子は入っていないか」を手術後に検査を行う必要があるため、検査費用も入っている料金か否かを事前に確認なさることをおすすめします。
手術費用が5万円~9万円のクリニックも
調べてみると、5~9万円前後の価格をホームページに掲載しているクリニックもあるようです。
どういった方法なのか、麻酔代や検査代と称して別料金がかからないか、を調べる必要があるでしょう。
また、パイプカット手術は、手術経験の有無が非常に大事な手術となります。
どのような医師が担当するか、も事前に調べるようにしましょう。
パイプカット手術は保険適用外
先ほども述べたとおり、パイプカット手術は自由診療となり、保険は適用されません。
妊娠することで女性側に重大な悪影響を及ぼすと考えられる場合は、母体保護法によって保険が適用されます。
自由診療なので保険適用外
自分のケースは保険適用外か、手術を依頼する病院・クリニックが自由診療での対応なのか、は事前に問い合わせると回答してもらえます。
自由診療だからこそクリニック選びが重要に
自由診療の場合、料金設定は様々です。
クリニックが提示する費用が突出して安い、高いケースもあるため、「相場と異なるのはなぜなのか?」を調べたほうがよいと思います。
安いのは医師が研修で行うためではないか?、様々な理由をつけて結局高い費用を請求されないか?、などを事前に確認しましょう。
パイプカット手術を受けるクリニックを選ぶ方法
パイプカット手術は失敗が許されない手術です。
受けたものの、手術がうまくいかず精子が精液に混じっていることで、望まない妊娠をする可能性もあります。
確実にパイプカット手術を成功させるために、どういった点を注意すればよいでしょうか。
診療科目を確認する
ペニスの治療を専門的に行っており、科目を標榜しているクリニックに依頼するようにしましょう。
「あわよくばパイプカットの希望患者がいたら手術をしよう」と考え、ホームページなどに手術紹介を掲載している病院・クリニックもあります。
手術を受けたものの、精子の検査で結局「ゼロ」にならず、再手術を受けることになりかねません。
パイプカット手術を長年行っているか、専門なのか、を事前に調べたうえで依頼しましょう。
明朗な料金表示がされている
パイプカット手術の術式はそう多くないため、なんやかやと理由をつけて手術費用を上げようとするクリニックでは受けるべきではありません。
手術費用、検査費用が明示されていること、事前に「これ以上費用はかからないか」を確認したうえで、診察を受けるようにしましょう。
担当医の専門性を確認する
繰り返しお伝えしますが、パイプカット手術は担当する医師の経験が大事です。
精管を見つける作業は、経験の浅い医師には無理だとお考えください。
担当医の氏名、顔写真、出身大学や専門医の肩書、勤務してきたクリニック等の経歴がホームページに明示されていない場合、依頼するべきではありません。
調べればそういった点を明示している病院・クリニックは、存在します。失敗が許されない手術です。
調べる労を惜しまず、安全・確実に行ってくれる医師に依頼しましょう。
患者にとって最良の治療やアドバイスを提案してくれるか
患者様の状況、希望をしっかりと聞き、手術の必要性を判断してくれることもクリニックの役割です。
パイプカット手術は、「本人の年齢」「配偶者は同意しているか?」「子どもはいるか?」「離婚している場合、現在のパートナーは賛成しているか?」などを伺ったうえ、患者様の希望や事情を考慮し手術を行うかを判断しております。
パイプカット手術はあとあと、精管を再生させることが不可能な手術のため、慎重に考えるべきです。
その点をクリニック側がイニシアチブを取り、しっかりと確認、説明してくれることが大事です。
ヒアリングやカウンセリングをしっかりと行ってくれるクリニックか、を重要視してください。
まとめ:男性器の手術実績が豊富で専門性も高いネオ形成外科へ相談
パイプカット手術は、男性泌尿器を専門に手術するクリニックで受けるようにしましょう。
ペニスの構造を熟知している医師が担当することが、大事です。
ネオ形成外科は男性泌尿器を専門に扱う、形成外科を標榜しています。
診察カウンセリングにおいて、パイプカット手術の大事な点をくわしく説明しています。
特に、「一度手術をすると、精管をふたたびつなぐことは不可能」と考えられる手術のため、すべての情報を開示したうえで患者様の意思確認を行います。
パイプカット手術は、失敗が許されない、再生が難しい手術です。
クリニック選び、担当医選びが非常に大切です。ぜひ専門クリニックであるネオ形成外科へ、ご相談ください。